双極性障害がランダムのシールを買って思うこと

エッセイ

某100円均一のお店へ行くとついつい、ランダムで異なる絵柄が書いてあるシールが入っている袋を買ってしまう。

私はスマホゲームなどをやらないのでわからないが、これがいわゆる「ガチャ」というやつに近いんだろう。

開封してみて、お気に入りのシールが入っていたので、とりあえず筆箱の裏に貼ってみた。

少し、心が満たされた感じがする。

こういう「ドキドキ感」というのは、クセになるから危ない。

今回の場合は1つ100円だから損害は少ないが、

これが1000円、10000円と増えていくことは大いにありうる。

そういう私にも心当たりがあるからだ。

躁状態で自分を見失っていた頃

躁状態だった私は、ひたすらにスリルを求めていた。

UFOキャッチャーなどにハマったり、タバコやギャンブルをやってみたりもしたものだ。

運が良ければ一攫千金のギャンブルに、胸を躍らせてどんどんハマっていった。

気がつけば、借金しているなんてこともあった。

当時の状況はあまり思い返したくないが、なぜ冷静になれなかったのか、現実が見えなかったのか、本当に不思議でならない。

その酷かった自分の興奮状態を抑えたのは、主治医から新たに処方された薬だった。

抗うつ薬から精神安定剤へと処方は変わり、私は次第に自分と自分の周りの現実が見えるようになった。

ランダムシールを買って思うこと

今の私は、実を言うと100円のランダムシールを買うことすら怖い。

過去の経験が常に脳裏を掠め、また「ハマってしまう」のではないかと怯えている。

今回は「筆箱の裏に貼りたいから」というゴールがあったため、もうこれ以上の購入は考えていない。

しかし今でも、商業施設のUFOキャッチャーを見るたび、街角のパチンコやスロットを見るたび、

心がざわつく。

その心のざわつきは、「またあの体験がしたい」と言う欲望からではなく、

過去の自分を思い出させられる苦痛に他ならない。

過去を繰り返さないために、私はあれから徹底的な家計管理をするようになり、

浪費もなくなった。

ただ街中には誘惑が至る所に潜んでいる。

全てにNOと言っていては、人生味気ない。

あくまで自分の許容範囲内で楽しむ、それが正しい「娯楽」なのだろう。

最近の私は自分の許容範囲がわかってきた気がする。

この100円のシールは、私の「許容範囲内」なのだから、無駄に心配する必要もない。

大丈夫、大丈夫。

そう自分に言い聞かせて、私はこの筆箱を大切にしようと思った。

2025年04月17日 もも

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